漆(うるし)=JAPAN と称される天然塗料の代表格です。
全国各地にある漆器産地は斜陽の一途をたどっていますが、器や工芸品に使われるうるしのほぼ全ては中国とかベトナムとかの大陸産。
もちろんかつての日本では各地で漆が採られ、漆かきの職人もたくさんいた訳です。
私が始めて うるし に接したのが35年ほど前。
チューブに入った漆はもちろん中国産で200g 2800円程度だったと思います。
その頃ももちろん国産の漆は存在していていましたが、とても高価で私共の様な者が手に出来るものではありませんでした。
始めて国産漆を手にしたのがそれから10年ほど経った頃、会津若松の漆屋さんで中国産が200g 3000円だった時に200gで
18000円ぐらいだったと記憶しています。
試してみたくて清水もので買ったのは良いけれど、なかなか使えなくて困ったものでした。
今回、国産うるしで仕上げることにしたのがお寺さん発注の 焼香台。
木材も飯田で切られた肥松(天然赤松の松脂の強い木)で、なかなか貴重な銘木です。
漆塗り職人から漆かき職人になってしまった友人から分けてもらった 地元産うるし との最高のコラボレーションとなりました。
5度、6度、と塗り重ねていくと見事な色合いが発せられます。(写真ではイマイチ表現できません)
国産漆の良さはなんといっても 透き の良さ。
そうは言っても言われなければ判らないし、ほとんど自己満足の範疇です。
5年、10年、と時が経つほどその真価を発揮してくれるはずの 国産うるし。
ずっと残る仕事に対する思いの形です。